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業務概要
(1)丹沢大山自然再生計画の推進
ア 計画改定の経緯と目的
丹沢大山の自然環境の悪化に対して、県では平成11年から「丹沢大山保全計画」に基づき様々な対策に取り組んできたが、ブナの立ち枯れや林床植生の衰退など自然環境の悪化に歯止めをかけるには至っていない。このため、平成16年度から3か年かけ、丹沢大山総合調査が実施され自然再生の基本方向と新たな仕組みを示した政策を提言した。
県では、この政策提言を踏まえ、これまでの保全対策に加えて、総合的な自然再生事業を実行することにより丹沢大山が抱える諸問題の解決を図るため、平成19年3月に丹沢大山保全計画を改定して丹沢大山自然再生計画を定め、自然再生事業に積極的に取り組むこととした。
イ 概要
(ア) 再生目標
概ね50年後の丹沢大山の再生目標を、「人も自然もいきいきとした丹沢大山」とし、具体的には「丹沢の豊かな生物や水・土をはじめとする物質循環が健全に保たれた環境を、丹沢大山の復元力と人の新たな技術により取り戻すことで豊かな地域を再生し、次世代へ引き継ぐこと」とする。
(イ) 4つの景観域
低標高域から高標高域までの多様な環境要素を含む丹沢大山において、より綿密で実効性のある対策を実行するため、丹沢大山を自然的特徴により、4つの「景観域」に区分して自然再生の目標を設定し、施策を展開する。
【景観域ごとの再生目標及び将来像】
景観域 | 再生目標 | 将来像 |
奥山域 標高概ね800m以上 |
「鬱蒼としたブナ林の再生」 | シカ等の影響を抑えることによって、林床植生が回復し、土壌が保全され、多様な植生景観やブナ林に依存する希少野生動植物が保全されるようなブナ林 |
山地域 標高概ね300〜800m |
「生きものも水土も健全でなりわいも成り立つ森林の再生」 | 林道沿いでは、森林循環を取り戻した持続可能な管理が行われている人工林、林道から離れたところでは、多様な生きものが生息する針葉樹が混生した広葉樹林 |
里山域 標高概ね300m以下 |
「多様な生きものが暮らし、山の恵みを受ける里の再生」 | シカやイノシシ等の被害が少なくなり、外来種の侵入も減少し、多様性の高い二次的自然や農林業をはじめとする自然にやさしいなりわいが実現した里 |
渓流域 3つの景観域をつなぐもの |
「生きものとおいしい水を育む、安心・安全な沢の再生」 | 人工構造物の生態系への影響が最小限に抑えられ、水生生物や魚類をはじめとする渓流に生育・生息する生物の多様性や生息環境が保全され、水質・水量が健全になった渓流 |
※二次的自然:人間の活動により創出されたり、人が手を加えることで管理・維持されてきた自然環境
(ウ) 計画の基本的な視点
- 丹沢大山の主要な課題の設定と施策の展開
- 丹沢大山の景観域ごとの再生目標に応じた施策の効果的な展開
- 統合的な事業展開
- モニタリングによる順応的な事業の見直し
- 県民参加による自然再生事業の実施
- 情報の公開
(エ) 計画期間
将来展望を概ね50年後の2056(平成68)年度までとし、将来像実現のために取り組む事業計画期間は2007(平成19)年度〜2011(平成23)年度までの5年間とする。
(オ) 対象地域
丹沢大山国定公園、県立丹沢大山自然公園区域を有する8市町村(相模原市津久井町・秦野市・厚木市・伊勢原市・松田町・山北町・愛川町・清川村)の市街化区域を除くエリア(66,548ヘクタール)。
(カ) 特定課題と事業計画
8つの特定課題の解決のための事業及び自然再生事業推進のための基盤整備に取り組む。
区分 | 構成事業数 | ||
8つの特定課題 | T | ブナ林の再生 | 9 |
U | 人工林の再生 | 6 | |
V | 自然資源・地域資源を活かした地域の自立とつながりの再生 | 6 | |
W | 渓流生態系の再生 | 6 | |
X | シカの保護管理 | 8 | |
Y | 希少動植物の保全 | 8 | |
Z | 外来種の除去 | 4 | |
[ | 自然公園の適正利用 | 6 | |
自然再生事業推進のための基盤整備 | 9 | ||
計 | 62 |
(キ) 計画の推進体制
庁内に設置した「丹沢大山自然再生推進本部」が計画の進捗管理を行い、多様な主体から構成される「丹沢大山自然再生委員会」が点検・評価などを行う。
その点検・評価の結果を踏まえ、推進本部が毎年度、事業内容の見直しや新たな事業の追加などの検討を行うとともに、概ね5年ごとに計画を点検し、改定する。
(2) 情報の収集及び発信
ア 事業矛区会の開催
事業部門、研究部門と連携して事業報告会などを開催している。
イ インターネットによる情報の発信
(ア)自然環境情報ステーションの整備
e-Tanzawaを活用し、丹沢大山総合調査の各調査データなど、自然再生事業に不可欠な科学的情報の蓄積、県民への情報発信と自然再生に取り組む事業主体間の情報共有を図ると同時に、政策見直しのためのモニタリングと総合解析、県民協働などを支援する。
(イ)自然環境保全センターホームページの運用
自然環境保全センターで行っている行事や事業などについて、随時情報発信を行う。
ウ 県立自然環境保全センター図書室の運営
新本館図書室の運営を行う。